深海棲艦と戦う鎮守府と、そこで暮らす艦娘。
　彼女たちは軍艦であると同時に、人間でもある。
　人間である以上、嗜好や性格といった部分で個人差というものが存在する。
　艦種で違うのはもちろん――同じタイプの艦娘でも、違いというものはあるのだ。


「瑞鶴が着任するって、今日でしたっけ？」
　仕事の合間にふとそんなことを聞いてみると、加賀さんは若干不機嫌そうに――
表情に出るタイプではないのだけれど、その全身から不機嫌オーラ的なものを漂わせつつ答えてくれた。
「そう聞いていますが……提督、嬉しそうですね」
「うん、まあ。やっぱりね」


　ショートランド泊地のとある鎮守府にいる加賀さんもその一人であり、若干個性的だったりもする。
　しかしそれは提督も鎮守府の仲間もわかっていることだし、なんの問題もない。
　個性というのは、その人の魅力にもなりうるのだ。


「せっかくの機会なので、新人艦娘と面談しているんだけど机の下では秘書艦と淫靡な行為に耽るという鬼畜提督プレイを」
「えっ。提督さん、そんなことを――」
「してません！　見ればわかるでしょう!?」


　魅力にも――


「考えてみて？　小さい胸を育てることはできるけれど、一度育ってしまった胸を萎ませることはできないのよ」
「加賀さん、あんまりそういうことを言ってまわらない方がいいですよ」


　魅力――


「間宮さん、おかわりを」
「いくらなんでも食べ過ぎじゃないですか？」
「いいから持ってきて下さい。今日は酔いたい気分なんです」
「とりあえず、お汁粉では酔えないと思います」


　えっと――


「Ｈｅｙ、加賀。その新橋で飲んだくれるサラリーマンのモノマネで、手に持ったティーカップに傷とかつけたら容赦しないヨー？」
「なんですか、ケチ臭い。金剛とかリッチっぽい艦名なのにせせこましい――」
「具体的にいうと提督にチクる」
「では、本題に入りましょう」


　個性を尊重できる社会というのは、素晴らしいものだと思うんです。

　そんな個性的な加賀さんが巻き起こす騒動の末に、彼女は何を手に入れるのか――
　なんていう壮大な話ではないけど、興味がある方は見守ってあげて下さい。


「ドイツのことわざに『ぱんつじゃないからはずかしくないもん』というのがあるそうじゃないですか」
「確かにビスマルク達と似てる気もしますが、別物です！」


　多分、ろくなことにはなりませんが。

　裸Ｙシャツ友の会がお送りする、ちょっと残念というか愉快というか素っ頓狂な加賀さんのお話。


　文章：右近　　表紙：茉乃瀬桔梗

　タイトル：加賀さんの平凡な一日
　サイズ：A5二段組 本文42ページ
　頒布予定価格：500円
　本文サンプル（pixiv）

　そんなわけで、今回も艦これ本です。
　前回の本を作ってるときにデイリーのバシー島回してたら気が狂ったように加賀さんが出まくったので、加賀さん本です。
　そして上に書いた予告的なものを見てもらえるとわかると思いますが、若干（？）残念な感じの加賀さんです。
　加賀さんファンの人は優しい気持ちで読んでくれるといいと思います。
　あと、うちのサイトに昔から来てる人ならタイトルになんとなく見覚えがあるかもしれませんが、大体そんな感じです。察して。
　
　そんなわけで、12/29（月）東I-42a「裸Yシャツ友の会」までお越し下さい。
　当日は既刊もロボノ本がかすかにあるぐらいだと思いますが、委託もちょぼちょぼ受けてると思うのでお暇な方は冷やかしに来てやって下さい。
　一応12/30（火）東G-22a「硝子の月」で委託させて貰う予定です。
　2日目とか来ねえよという方も、よろしければどうぞ。多分俺も売り子してます。

　とらのあなで委託も始まったみたいです。よろしければどうぞ。

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